お知らせ
2017-11-21 12:24:00
ニス重ね塗り・やすり掛け
本日も、ニスの重ね塗りとやすり掛けを行います。
前回の記事で白くなっていた部分を、SuperNickoで磨き上げた状態です。
紙やすりを#1000までしっかりと掛けているので、表面もかなりつやっとしています。
(紙やすりは、目の粗いものほど数字が小さく、細かいものほど数が大きいです。楽器の製作や修理では、粗いものだと大体#120くらいから使用します)
左側の駒脚部分はほぼなだらかになりましたが、右側は木自体の凹み・抉れがかなり大きかったため、まだ少し表面がボコッとしています。
完全に平らになるまでニスを盛っても良いのですが、あまりに層を厚くし過ぎると、ニスが完全に乾くのに月~年単位の時間がかかってしまうため、セットアップを行うことが出来なくなってしまいます。
また、ニスが乾く前に無理に駒を立てると、圧力でニスが変形し表面がめちゃくちゃな状態になってしまうため、今回は木地をカバーする程度の層になるよう留めておきます。
勿論表板は凹んだままなので、セットアップの際には凹んだ形に沿うように駒脚を削り、立てることになります。
かなり難易度の高い駒立て作業となりそうです。
ある程度表面をキレイにしたので、ここからは上からニスを塗ってやすりを掛ける作業を何度か繰り返し、更に凹凸を取り除いて行きます。
まだまだ先は長いです…。
平行して横板側の補修も進めているので、そちらもまた後日ご紹介します。
それでは、本日もご覧頂きまして誠にありがとうございました。
皆さま良い一日をお過ごし下さい。
2017-11-19 13:31:00
ニスやすり掛け
本日は、ニスのやすり掛けを行っています。
表板の中央部分、普段は駒が立っているはずの場所が、全体的に白っぽく曇っているのが見て取れるかと思います。
こちらの部分、元々は下の写真の左上部分のように、完全にニスが剥げ、表板も抉れてしまっていました。
ニス補修前の様子を撮り忘れてしまったため、少々ピンぼけしていますが、こちらの写真でご容赦下さい。
この部分は長年駒が立ち続けている場所なので、摩擦や熱などで徐々にニスが剝がれ、木地の白い部分が露出してしまっています。
古い楽器には比較的良く見られるダメージなのですが、このまま放置すると更に剥がれの範囲が広がることは勿論、ニスの層を介さずダイレクトに木そのものにダメージが入るため、後々の耐久度などにも大きく影響が出てきます。
以上の理由から、今回はニスの補修及び色合わせに取り掛かりました。
また、木の抉れている部分に関しても、ニスを少々厚めに塗ることで補修をしてあります。
あまりに酷く抉れているようだと、抉れて薄くなってしまった表板が駒からの圧力に耐え切れず、割れたりひびが入ったりなどといったケースもございます。
駒付近がどういった状態になっているか、定期的に目視でチェックして頂き、もしも異常が見らるれようであればお早めにお近くの工房へお持ち下さい。
一枚目の写真はまだ途中経過の時の物なので、これからサンドペーパーで更に少しずつ磨き上げ、表面がなだらかになるよう仕上げて行きます。
磨いた後の様子は、また後日ご紹介する予定です。
それでは、本日もご覧頂きまして誠にありがとうございました。
皆さま良い一日をお過ごし下さい。
2017-11-18 11:29:00
ぶらあぼ12月号入荷
ぶらあぼ最新刊、入荷しています。
今号はドイツのヴァイオリニスト「ギドン・クレーメル」氏のお写真が表紙となっています。
現在使用している楽器はニコロ・アマティとのことですが…映っている楽器ももしや?!
出演予定の【クレメラータ・バルティカ&リュカ・ドゥバルグとの共演】は、来年2月頭~中旬の公演となります。
他にも、プロの方への貴重なインタビューや近日中のコンサート情報、チケット前売り情報、楽団の団員募集情報などが沢山掲載されている充実の音楽冊子です。
工房フェルマータの受付やスタジオフェルマータの待合スペース等で無料配布しております。
ぜひ一度お手に取って頂ければ幸いです。
それでは、本日もご覧頂きまして誠にありがとうございました。
皆さま良い一日をお過ごし下さい。
2017-11-15 14:10:00
ラーセン社の新弦「イル・カノーネ」
本日は、ラーセンより発売された新弦「イル・カノーネ」についてご紹介します。
商品名である「イル・カノーネ」という名前は、当時パガニーニが使用していた愛器「デルジェス」のニックネームから取られたものです。
系統としてはピラストロのオブリガートに近い音色ですが、実際に弾いてみるとより明るさや柔らかさが際立っている印象を受けました。
音自体の輪郭もしっかりとした太さを持っており、エヴァピラッツィなどとは異なる類の迫力が全弦を通して感じられます。
また、かなり多くの倍音が感じられるのと同時に、良く開いたクリアな音色を持ち合わせているのも特徴かと思います。
張力の弱い弦だとレスポンスの低下などの心配なども出てくるかと思いますが、そちらも非常に優れている印象を受けました。
張力が弱めな分、弦を押さえ易いため、ハイポジションなども比較的演奏しやすい感じです。
張力の強い弦の特徴とも言える、音量のある輝かしい音色に比べ、イル・カノーネのように張力の弱い弦は柔らかく暖かな音色となります。
一見、張力の強い弦の方が音量・音圧に関して優れていると思われるかもしれませんが、楽器を豊かに響かせることで弱い張力でもボリューム感を生むことが出来るため、楽器によっては弱い張力の弦が適しているケース*もあります。
*古い楽器に張力の強すぎる弦を張ると、多くの負荷が掛かり過ぎてしまい、楽器のコンディションに悪影響を及ぼしてしまうケースがあるため。
今までそういったお客様には基本的にガット弦をお勧めして参りましたが、今後はガット弦以外の新しい選択肢として、一度「イル・カノ―ネ」をご検討頂くのも良いかもしれません。
また、「イル・カノーネ」には「ミディアム」と「ソリスト」の二種類の弦があります。
「ミディアム」…立ち上がりの良い発音と、素直でクリアな響きが特長。
豊かでパワフルな音色と音圧を兼ね備えています。
テンションは柔らかめに作られています。
「ソリスト」…ミディアムのパッケージをベースに、赤い帯模様が一本入っています。
ミディアムの特性を生かしつつ、更に明るく輝かしくなった響きが特長です。
エッジの効いた存在感と、深く豊かな音色との両方を持ち併せています。
気になる方はぜひ一度お試し下さい。
それでは、本日もご覧頂きまして誠にありがとうございました。
皆さま良い一日をお過ごし下さい。
2017-11-11 12:32:00
弦楽器フェア
本日は、先日科学技術館にて開催された弦楽器フェアの様子をご紹介しようと思います。
今回の弦楽器フェアは、11月3日(金)~5日(日)までの開催となっており、今年で開催60周年目、そして丁度三連休に重なったということもあり、大変な賑わいを見せていました。
昨年を大きく上回る125の法人・個人の皆さまが出展しており、日本のみに留まらず、欧州などからも多くの出展があったそうです。
弦楽器フェアでは、沢山の楽器が試奏・購入出来るのは勿論のこと、それ以外にも楽器製作用の木材やフィッティングパーツ、弦、楽譜、ケースなどを始め、キーホルダーなどの楽器にまつわるアクセサリー類まで、大変幅広い品物が販売されています。
また、楽器もヴァイオリン族やコントラバスに留まらず、マンドリンやリュート・ギターなどの弦楽器も数多く出展されています。
今年は60周年ということもあり、日本の弦楽器製作史(ヴァイオリン・ギターなど)に大きな影響を及ぼした、著名な製作家の紹介パネルや楽器なども記念展示として設置されていました。
他にも、出展されている楽器を使用したコンサートなども毎年開催されています。
「初心者から演奏家までが"観て、聴いて、弾いて"楽しめる」をテーマとしたこの弦楽器フェアですが、日本国内における弦関係の催しの中では、最大規模のフェアとなっております。
年に一度の機会ですので、興味のある方はぜひ一度足をお運びください。
それでは、本日もご覧頂きまして誠にありがとうございました。
皆さま良い一日をお過ごし下さい。